ホテル探しとガイドブック

◆◇欧州からの文化の風【日本の未来のために】◇◆:No.87 ホテル探しとガイドブック
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           ホテル探しとガイドブック
          欧州での宿を探しながらの旅

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ドイツ文学者の池内紀はエッセイストでもあり、旅の本を何冊か出している。
その著書「異国を楽しむ」の中で池内紀が海外旅行の「3種の神器」としてあげ
ているのが、トランク、トーマスクックの時刻表、そしてミシュランのホテル
年鑑の3つである。
そこで、池内紀ミシュランのホテル年鑑を紹介しているくだりは、こうだ。

 主だった都市を網羅した1冊もあれば、国別にくわしいものもある。
 大きな町はカラー地図つき、そこにホテルの地図が略図でついていて、町の
どの辺りにあるかがわかる。
 住所、電話、ファックス、部屋数、レストランの有無、料金の目安などさま
 ざまなデータが数行にまとめてある。
 旅慣れてくると、その数行から、ホテルのたたずまい、部屋のつくり、主だ
った泊り客の客筋までわかってくる。
「異国を楽しむ」池内紀

ミシュランのホテル年鑑は、残念ながら和訳では今のところ手に入らないが、
ホテルを探しながら旅をすることが、欧州旅行には欠かせない大きな楽しみの
一つであることが、よく伝わってくるくだりだと思う。

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そうした楽しみを私が知ってしまったのは、大学生の卒業旅行で28日間をか
けて始めての欧州1周旅行をしたときのことだ。
もう20年以上も前のことである。

当時、手に入る日本語の欧州旅行のガイドブックは、「地球の歩き方」だけだった。
これを片手に、28日間の欧州1周の旅をした。

そこに書いてあったのは、

「欧州を旅行する際に、ホテルを予約していく必要はありません。
欧州の都市にはホテルが集まっている場所がいくつかあって、そこに行けば空き
部屋を見つけることは難しくないからです」
という1文だった。

「え〜!? 本当なの? 大丈夫なの?」
旅立つ前に当然のごとく、私もまた、そう思ったものだった。
しかし、28日間、ホテルを探しながら欧州を旅してみて、一度も
「満室です」
と断られたことは、なかったのだった。

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以後、欧州を旅行する際、1泊目のホテルは日本で予約をしていくが、2泊目
から後は現地で探すスタイルの旅を続けている。

「都市にあるホテルが集まっている場所」
へと、メトロやトラムに乗って訪れ、
「どこがいいだろうか」
と、ホテルのたたずまいと料金を、街を歩きながら、建物を見上げ、看板を見上げな
がら歩くのは、欧州を旅しなければ味わえない、ワクワクする楽しみである。

日が傾いてくる時間になる前に宿を探すようにすれば、余裕をもって楽しみながら
歩くことができる。

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しかし、この
「都市にあるホテルが集まっている場所」
が、最近の「地球の歩き方」を含めた日本語のガイドブックには書いていないのだ。

そういうことに気付いたのは、10年くらい前のことである。

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20年前の「地球の歩き方」には、
「都市にあるホテルが集まっている場所」
が、周辺地図と宿泊したことのある人の口コミと合わせて紹介されているページがあっ
て、そこを見ながら欧州を旅することが大きな楽しみだった。

そうしたページが消えてしまったのは、10年くらい前、「地球の歩き方」以外のガイド
ブックの創刊が相次いだことに、1つの原因があるのではないかと思う。

それまでの「地球の歩き方」は、比較的文字情報が多く、カラー写真もほとんどなかった。
それに対し、他社のガイドブックは、「見やすさとわかりやすさ」を売りに、全ページ
をオールカラーで、写真とイラストをたくさん載せたスタイルで、販売攻勢をかけたのだ
った。

本屋の旅行書コーナーに行くと、「地球の歩き方」は、一見パッとしなく、みすぼらしく
見えたものだ。
私も、オールカラーの華やかさに気をとられて、他社のガイドブックを何度か、買って
みたりしてしまったこともある。

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何年かして気付いたら、「地球の歩き方」も、他社のガイドブックと同じような、
オールカラーのガイドブックに、いつの間にか、変わっていたのだった。

そして、それと同時に、
「都市にあるホテルが集まっている場所」
が、周辺地図と宿泊したことのある人の口コミと合わせて紹介されているページ
もまた、なくなってしまっていた。
そんなことのように記憶している。

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日本語のガイドブックは、全てオールカラー華やかなものになった。
しかし、現地に行った時に必要な肝心な情報が載っていない。

そんなことを、最近、とても思う。
ワクワクするような旅行ができるような情報が載っていないガイドブック
を見ると、ちょっと悲しい気持ちになる。

ホテルを探す場合、地図にプロットされているホテルの密度と街のイメージから、
「都市にあるホテルが集まっている場所」
を読み込んで見つけ出しながら歩くしかない最近なわけだが、欧州の街の中には
そういう場所がいくつかあるのだということを知った上で歩くと、ホテル探しも
余裕をもった楽しいものになると思う。

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ロンリープラネット
という英語版のガイドブックが、最近和訳で出ている。

「都市にあるホテルが集まっている場所」
についての記述はないが、ホテルの掲載が歩いて探すことをイメージした文章に
なっている。
また、バーやクラブなど、日本語のガイドブックにはほとんど載っていない
情報もかなり載っているので、現地で役に立つと思う。

カラーページがほとんどなく、文字情報がほとんどのガイドブックで、
一見とっつきにくいかもしれないが、役に立つかもしれない。

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最後に、歩いて見つけたホテルで、パリに行くと私がよく訪れるリーズナ
ブルなホテルを紹介したいと思う。

「ホテル モンブラン
というホテルで、立地とサービスがよく、とても居心地がよい2つ星の
ホテルだ。
場所は、サン・ミッシェル橋の広場の交差点から1本目の道を、ノートル
ダム寺院側に入ったところにあり、比較的わかりやすい。

以下「ホテル モンブラン」HP
http://www.france-hotel-guide.com/h75005montblanc2.htm

以下私が撮影した「ホテル モンブラン」の写真
http://photozou.jp/photo/list/146408/403717

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