パリの夜とカラオケ

◆◇欧州からの文化の風【日本の未来のために】◇◆No100:パリの夜とカラオケ
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          おだやかに、ゆっくりと、ふける、
            パリの夜とカラオケ


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パリの夜は、暗い。
日本の都市は、白い蛍光灯とネオンの光で、夜でもまぶしいほど明るいが、
欧州の都市は、白熱灯のオレンジ色の暖かく優しい明かりが、ところどころに、
ポツンポツンと、灯るだけ。
街の通りに、限らない。ホテルの部屋も、天井に照明がなく、ベッドの脇の小さ
なスタンドライトしかない部屋がほとんどだと、覚悟しておいた方がいい。
地下鉄メトロの通路も、暗い。うす暗い地下鉄の通路での一人歩きは、多少用心
した方がよいかもしれない。物取りにあって金品を奪われるようなことがあって
も、暗い夜道を用心しなかった方にも責任があると思われてもしかたがないとい
うのが、一般的な感覚だからだ。自分の身は、自分で守らなくてはならない。

最近はあまり見かけなくなったが、パリの小さなホテルの廊下は、タイマー式の
照明になっていることが、多い。
客室階に着いたエレベーターのドアが開くと、そこは、墨を流したように真っ暗
な世界。手探りで壁を探り、照明のスイッチを、探す。
やっと探り当てたスイッチを押して、照明を点け、自分の部屋へ。
ところが、照明は、60秒位の間しか、点いていない。点灯している間は、
「ジジジジジ・・・・」とアナログなタイマーの音がしていて、60秒たつと、
「パチン」と、消える。
建物が古いため、ドアの建付けが悪く、開かない自分の部屋のドアの鍵と格闘し
ている間に、照明が消えてしまうことがある。仕方なく、また手探りで、照明の
スイッチを、探す。近くの照明のスイッチがどこにあるか、先に確かめておいた
方が、無難だ。

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そんなパリの夜は、闇と優しい灯りの中で、時が静かに流れる、とてもおだやか
な時間だ。レストランでは、皆、ゆっくりとした会話を楽しみながら、2時間以
上かけて、落ち着いた夕食を、とる。
日本のように、騒音のような音楽が、街に流れていることもない。ネオンもドハデ
なものはなく、あっても小さくて、街の夜の落ち着きに、彩りを添えてくれるもの
ばかりだ。車の走る音と、たまのクラクションと、人たちの会話しか聞こえない
パリの夜は、ゆっくりと、ふけていく。

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車のヘッドライトが、一番明るい、そんな、パリの夜。
夜の22時頃、パリの大道りを飛ばして走るタクシーの窓から眺めていても、煌々
と明かりのついた街を通ることは、ほとんどない。
そんな街の中で、夜中まで明かりが灯り、賑わっている数少ない街に、グラン・
プルバールGrands Boulevard が、ある。

Grands Boulevard は、オペラ座界隈だと、「一応」言われている街だが、メトロ
のオペラOpera 駅から、メトロ8号線で2つ目、歩くと20分ほどのところにあ
る。
かつては、リュー・モンマルトルRue Montmartre という駅名だったが、5年程前
のミレニアムに、グラン・プルバールGrands Boulevard に、駅名が変わった。
ホテルが集まっている場所で、○×オペラという名前のついたホテルが多く、オペ
ラ座界隈のホテル街だということを売り物にしているようなのだけれど、オペラ座
界隈の高級感のイメージからはほど遠く、どちらかといえばパリの下町情緒あふれ
た歓楽街といったかんじ。
近くには、19世紀から残る商店街パサージュがあって、昼間は、パリの下町独特
なウインドーショッピングが、楽しめる。
レストラン(高級ではなく、地元風)、カフェ、劇場、ディスコなども集まってい
て、夜になると、たくさんの人たちが集まってきて、賑わう。

小さな個人営業のスーパーマーケットも何件かあって、食べ物や飲み物を買い込む
のにも、便利。コンビニがないパリは、こうした小さなスーパーマーケットを見つ
けることがむずかしく、案外貴重なのだ。
レジでは、「ボンジュール」の一言を、忘れずに。
知らない他人同士でも、なにかのやりとりで言葉をかわすときは、「ボンジュール」
と一言、お互いに挨拶を交わすのが、習慣だからだ。レジに並んでいる人たちは
みなそうしていて、黙って買い物をすることがない。これは気持ちがいい習慣だ
と思う。

ここのホテルに泊まっていると、夜中になっても街の賑わいが途絶えることがなく、
窓の外に、街の賑わいの気配を感じないわけにはいかないわけだけれども、それも
街の空気なのだと楽しむことができるのならば、案外居心地よく、宿泊することが
できる。

グラン・プルバールGrands Boulevardのパサージュと、ホテルが見れる
サイトがあったので、以下に貼ります。

http://homepage2.nifty.com/paris-journal/tourist/passage.htm
http://www.mwt.co.jp/kansai/int/mets/hotelinfo/europe/parmadridopera.htm
http://www.parishotelmadrid.com/

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まだ、駅名がリュー・モンマルトルRue Montmartreだった頃の夏、ここの界隈の
ホテルに泊まったことがある。
近くのレストランで食事を済ました後、ディスコへ行ったのだけれども、バカンス
で休業中。バカンスの頃には、よくあることだ。時間は夜の12時半。
とぼとぼとホテルに帰る道を、歩く。この街のカフェは、夜中でも煌々と明かりを
灯して、営業している。「コーヒーでものんでいこうか」と、店に入ったら、
なんと、そのカフェでは、カラオケをやっていました。
店の奥に、小さなステージとマイクがあって、フランス人の皆、思い思いに自分の
歌を、楽しそうに歌っている。昼間は、カラオケステージは、シーツをかけてたた
んであって、夜だけ、カラオケのサービスをしているらしい。
しばらく観客だった私でしたが、歌本を借りて、歌うことに。
歌本を見ると、英語とフランス語とハングル語の歌がありました。韓国人が来るこ
とが多いのか。日本語の歌はなし。
ビリー・ジヨエルの曲を歌ったら、店中のお客さんが、拍手をしてくれました。

私がパリでカラオケに出会ったのは、後にも先にも、その時だけです。
しかし、カラオケが静かなブームだとは、聞いたことがあるような気がします。
店をさがせば、今でも、どこかで、パリジャンとパリジェンヌが、マイク片手に、
歌を歌っているかもしれません。

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