クーリエジャポンのフランス特集

◆◇欧州からの文化の風【日本の未来のために】◇◆No94:クーリエジャポンのフランス特集
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          クーリエジャポン1月号■フランス特集号
少子高齢化とグローバリゼーションへ対応する国の仕組み
           

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先日の朝、電車に乗ろうとしていていたら、駅のキオスクに並んでいた雑誌が目にと
まった。


クーリエジャポン1月号■フランス特集号
低成長でも「これほど豊か」/フランス人はなぜ幸せなのか

迷わず、購入。

日本でフランスなどヨーロッパの国に住んでいる生活について書かれた情報を雑誌や
書籍などの紙媒体で読める機会は少ないと思う。
紀伊國屋書店の海外事情の本棚をたまにのぞくことがあるのだけれど、並んでいる本は、
情報がやたら古いか内容がカタくて、あまり良い本がないと思う。
5年前のフランス暴動の内容の本がまだ新刊の部類だったり、就任後もう4年近くなる
サルコジ大統領の本がやっと並び始めたばかりだったり、まあ、そんなかんじ。

なので、今回の雑誌の特集には、ちょっと期待している。

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幸せとはひとそれぞれにとってのものだし、日本は世界で最も安全で快適に暮らせる国。
表面的な日常の快適さという部分では、日本は多分世界でもっとも幸せに暮らすことが
できる環境の国だと思っていいと思う。

しかし、ひとりひとりの幸せを支える社会の仕組みとしてはどうだろうか。

「小さな政府」を志向する日本と、「大きな政府」を志向するフランスという違いから
くる政府と経済と生活に対する政策の違いがそこにはある。
以下、今回の特集の内容から主な部分を抜粋して取り上げてみたいと思う。

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今、世界の先進国共通の課題は、少子高齢化とグローバリゼーションへの対応だ。

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少子高齢化の問題のフレームとは、高齢者が社会の大部分を占める一方、子どもが著
しく減少する社会となることによって、労働人口の偏りが起きて、それによる社会保
障費負担の増大、年金制度への影響、相対的な人口の減少などにより、経済成長が
減速す
ることだ。

これを解決する方法は案外単純で、出生率を上げること、簡単に言うと、子どもが増
えていく社会にすること、つまり安心して子育てができる社会をつくっていくことだ。
日本で出生率が下がり続けている原因は大きくは多分2つで、ひとつは世帯の将来の
生活の経済的な保障への不安、もうひとつは教育費の大きな負担だ。
これは、経済への取り組みを含めた政府のあり方とその政策によって解決できる問題
であることが、今回の特集の中ではフランスでの事例として紹介されている。

フランスも最近までは出生率が下がり続ける他の先進国と同じ少子化に悩む社会だっ
たが、効果的な政策と対策を打つことで、10年くらい前からV字回復を遂げている。
(現在のフランスの出生率は2.0、日本は1.3)

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グローバリゼーションへの対応の問題のフレームとは、ITなどの情報化社会が成熟し
た結果、先進国の工場などの製造拠点の中国、アジアなどへの移転(ちなみにフランス
の場合は東欧への移転)や、製造業だけではなくホワイトカラーを含めた仕事の業務が
人件費の安いインドなどの国へのアウトソーシングが行われることが当然の時代となっ
たことである。

その結果、先進国の人たちは人件費の安いインドや中国の労働者と競争しなければな
らなくなり、賃金が低下するばかりの一方、仕事は忙しくなるばかりだ。

こうしたグローバリゼーションの波は避けられない時代の流れで、そうした国際環境の
中で国が成り立っていく社会の仕組みをつくっていく必要がある。

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フランスで行われている所得の再分配の仕組みには注目しておいてもよいと思う。
グローバリゼーションの時代は必然的に格差社会を招くわけだけれども、その指標の
ひとつに相対的貧困率というのがある。
相対的貧困率とは、全国の世帯の平均の所得の半分以下の所得の世帯の率を表すもの
で、税制による再配分の前(市場所得ベース)と、所得再分配後の数字の統計がある。

主な国のデータは以下のとおり。■OECDによる

・ 日  本:13.5%(所得再分配後)←16.5%(市場所得ベース)
アメリカ:13.7%(所得再分配後)←17.0%(市場所得ベース)
・ フランス:6.0%(所得再分配後)←24.0%(市場所得ベース)
・ スウエーデン:5.0%(所得再分配後)←16.0%(市場所得ベース)

日本は再配分の前(市場所得ベース)と所得再分配後の数字はあまり変わらない
(16.5%が13.5%に下がる)けれども、フランスの場合は24,0%から6%
に下がる形で、相対的貧困率が大きく改善される形で所得の再配分が行われているこ
とがわかる。

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あと、この雑誌の中では、
榊原 英資 (著) の、
「フレンチ・パラドックス
も、フランス関連の日本語本としては近著としてここでは紹介されている。

日本では「小さな政府」が志向される時代になって久しいけれど、フランスは「大きな政府
志向で社会が動いていて、このことで、世界の先進国共通の課題である少子高齢化とグロ
ーバリゼーションへの対応を効果的に行っていることが紹介されている。

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★ 書籍の紹介
■ 以下、クーリエジャポン1月号■フランス特集号
低成長でも「これほど豊か」/フランス人はなぜ幸せなのか
COURRiER Japon (クーリエ ジャポン) 2011年 01月号 [雑誌]

■以下、「フレンチ・パラドックス
フレンチ・パラドックス
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以下で読むことができます。
http://ameblo.jp/michi444111/

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