オランダのMVRDV

◆◇欧州からの文化の風【日本の未来のために】◇◆:No.89 オランダのMVRDV
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オランダデザインとMVRDV
「100戸の高齢者用集合住宅」を訪ねる

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オランダはデザインの最先端を走る国の1つだ。
今、最も最先端で刺激的なデザインを見たかったら、オランダを訪ねてみるのが
いいだろう。
もちろん、ロンドンやパリなども素晴らしいけれど、アムステルダムを訪れてみ
ると、街中全てが新しくデザインされた建築やプロダクツなどで埋め尽くされて
いる感があって、目が離せない。

スキポール空港も素晴らしいし、そこからアムステルダム中央駅(CS)に向かう
車両のデザイン、中央駅前の広場にあるマスカットグリーンの公衆電話のデザイン、
トラム(路面電車)のデザインなど、歩いていると、これでもかというくらいの
デザインの波状攻撃には、デザイン好きの旅行者だったら、きっとうれしい悲鳴を
上げずにはいられないだろう。

■以下、私が撮影したスキポール空港から市内への写真
http://photozou.jp/photo/list/146408/386229

■以下、私が撮影したアムステルダム中央駅(CS)の写真
http://photozou.jp/photo/list/146408/386235

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特に建築のデザインにおいて、オランダは今とっても注目されている。

20世紀末から今世紀現在のデザインにおいて最も注目される建築家と言われる
レム・コールハースがオランダ出身だということを、ご存知の方は多いと思う。
彼が率いる設計事務所OMAは、世界中に数々の注目のプロジェクトを建て続けて
いて、現在も新しいプロジェクトが世界中で進行中である。

OMA出身の建築家集団 MVRDVは、地元オランダを基盤に活動していて、
数多くの集合住宅を中心としたプロジェクトを造り続けている。
2007年には、東京の表参道に GYRE という商業ビルも完成させた。

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MVRDVが設計した
オクラホマOklahoma 100戸の高齢者用集合住宅」
は、1997年の完成後、メディアに発表されて日本でも注目された。

アムステルダムを訪ねた折にはぜひ見てみたい建物であるのだが、ここにたどり着
くのはちょっと大変だ。
アムステルダムの西の郊外にある建物で、日本で手に入る建築雑誌の案内MAPを
見ても、正確な位置が書かれていないことが多い。
アムステルダム旧市街を中心に建築雑誌の案内MAPは作られていることが多い
から、郊外にある「100戸の高齢者用集合住宅」の位置は、どうしても地図の枠
の西のはずれの欄外になってしまって、「更にこの西側」としか書かれていない。

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アムステルダム中央駅(CS)のツーリストインフォーメーションのカウンター
で、「100戸の高齢者用集合住宅」に行く方法を調べたのだけれど、建物の
写真を見せるとすぐに教えてくれたのには、ちょっと驚きだったのと、
「さすがオランダ」というかんじ。

オランダの人たちは建築やデザインに対する関心が高くて、著名な建築家や建物
のことはたいてい誰でも知っているのだ。
日本で著名な建築家、例えば安藤忠雄の設計したマンションの写真を見せて、
「ここに行きたいのだけれど」
と尋ねても、多分タクシーの運転手を含めた、ほとんどの人がわからないだろう。

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トラム(路面電車)に乗って、アムステルダムの西の郊外まで行き、終点の2つ
手前の駅で降りる。
そこは、2階建てのテラスハウスの住宅が並ぶ、緑が豊かな郊外の風景。
しかし、どちらの方に歩いて行ったらいいのか、方向感覚が全然わからない。

「困ったな」
そう思いながら周りを見回すと、道路の向こう側の住宅の前で、ホースの水で
イカーの洗車をしている男性が1人見える。
他には誰もいない、のどかな郊外の風景である。

意を決してその男性に向かって歩き、「100戸の高齢者用集合住宅」
の写真を見せながら、
「すいません、ここに行きたいのだけれど、わかりますか?」
と、尋ねる。

男性は写真を覗き込むと、
「ああ!、MVRDVなら近くだよ、乗せてってやるよ!」
と、予想もしない展開に。

洗車をいつの間にか終えていた彼の車の助手席に座ると、車は出発。
緑の森を抜け、小さな湖の横を抜けて車は走り、あっというまに
「100戸の高齢者用集合住宅」の前まで、連れていってくれました。
厚く感謝と御礼でした。

彼もこの建築を知っていたという「さすがオランダ」というかんじには、再び
のちょっとうれしい驚き。
「100戸の高齢者用集合住宅」のその始めて見るそのデザインの素晴らしさ
が、目の前にありました。

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「100戸の高齢者用集合住宅」
は、9階建てで、建物の外壁全体が木材の下見板貼りに覆われた、端正な中にも
温もりが感じられるデザインの建物。
55歳以上の老人専用の集合住宅で、緑あふれるアムステルダム郊外の街並みの
中に、周りの大きな木々と調和して建っている。

びっくりするのは、正面の道路側に向かって、大きく飛び出すように張り出した、
13戸の住宅の大きなヴォリュームだ。
87戸しか入らない限られた敷地の広さの中で、100戸という住宅を余裕のある
住戸として確保するため考え出されたアイディアで、飛び出した部屋の下は道路
と一体の公開空地になっていて、誰でも歩くことができる街並みの中の広い空間
を提供することにも成功している。

南側に周ると、カラフルな色ガラスの手すりがはめ込まれた小さなバルコニーが
ランダムに張り出していて、見ていてとても楽しく優しさを感じさせるデザイン
になっている。
単調で殺風景になりがちな集合住宅の表情に変化と個性を与えることに成功した、
素晴らしいデザインだ。

■以下、「100戸の高齢者用集合住宅」が見れるサイト
http://www.holland.or.jp/nbt/buildings/oklahoma.htm
http://www.japandesign.ne.jp/HTM/REPORT/holland_fmd/12/

■以下、私が撮影した「100戸の高齢者用集合住宅」の写真
http://photozou.jp/photo/list/146408/389598

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アムステルダムには、MVRDVが設計した集合住宅が他にもたくさん
ある。
海の岸壁に係留された客船のようなイメージの「シロダム」
も、カラフルで見ていて楽しい。
写真だけになるけれども、紹介しておきたいと思う。

■以下、私が撮影した「シロダム」の写真
http://photozou.jp/photo/list/146408/392890

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